ちゃたけです。
運動会シーズンていつなんだろう?
僕の学生時代は、「秋季大運動会」って言ってたくらいで、9,10月あたりにやってたような。
最近は、近所の学校や保育園から、今なの?っていう時期に朝一の号砲の花火や、かけっこの音楽やアナウンスが聞こえてくる。
夏前だったか。
男子なら、運動会や体育祭で騎馬戦を戦ったことがあるんじゃないだろうか。
僕は強烈に思い出として残っている。
なぜなら、応援団長かつ騎馬戦の大将だったからだ。
僕にだって輝いてた時期はあったのだ。
体育祭で、体格や腕力で劣っていた大将である僕が、一度も勝てなかった騎馬戦で、
見事全勝した マル秘必勝法 をこっそり君だけに教えよう。
大人の皆さんはもう戦う機会も無いでしょうけど、子供に教えてあげたらいいんじゃないかな。
なぜ今さらそんなことを?
ふと思い出したので、あの斬新な必勝法を後世に語り継いでみようかなと思ったので。
昔々、あるところに、騎馬戦に全く勝てない大将がおったそうな。
負けっぱなしの騎馬戦
僕は中学生時代、いろんな肩書を持っていた。
なんちゃら委員会委員長、卒業遠足の実行委員長とか。
自分からやりたいなんて言ったわけじゃなく、推薦されて多数決で担ぎ出されるのだ。
嫌で嫌で仕方なかった。
体育祭が近づくと担任の体育教師に、
「お前、赤組の応援団長やれ」
と指名された。
本気で抵抗して食って掛かったが、青組・白組の応援団長の顔ぶれを見て、しょうがない、あいつらがやるならやってやるかと渋々承諾した。
人前に出るの大嫌いなのに。
応援団長なんて一番目立つ。
宣誓!とか、フレーフレー!なんてのをやるのだ。
それも嫌だったが、応援団長に自動的にセットで付いてくる、騎馬戦の大将が本当に嫌だった。
暴力反対!!
親父にだって殴られたことないのに!!
時は進んで、体育祭予行練習。
騎馬戦の予行も当然やった。
僕は赤組団長にして大将。
他に青組と白組があるので、2回戦うことになる。
予行練習での白組との戦い。
離れて対峙した各軍の騎馬列から、お互いの大将馬が真ん中まで進み、口上こそ無かったとは思うが、握手なんかしてメンチを切りつつ挨拶をする。
本当なら、大将馬が下がって隊列に戻り、開始の号砲が鳴って開戦となるのだが、、、
敵軍の大将とご挨拶してたら、横で仕切っていた先生が、
「よし、お前ら、このまま一騎打ちしろ」
は?
なんで?
ばかなの?
本気で嫌がって抵抗する間もなく、パーン!と合戦の火蓋が切って落とされた。
ガツンとぶつかり、取っ組み合い、お互い引きずり降ろそうと必死にもがく。
殴るつもりなんてお互い無いけど、痛いよ。
後ろで見ていた騎馬隊は、両軍ともに何が起こってるのかわかっていないので、ポカーン。
先生の言った意味不明な一言は、周りにまでは聞こえていない。
あれ?始まってる?とやっと気づいた両軍の騎馬達は、真ん中で揉み合っている大将馬目掛けて一気に駆け寄り、団子状態。
そりゃもうメチャクチャ。
何が何だかわからないままに引きずり降ろされ、僕らは負けた。
続いて青組との勝負は、通常通りで一騎打ちこそしなかったものの、やはり攻めてくる敵軍の屈強な攻撃部隊に翻弄され、あっけなく負けた。
勝てる気がしない。
僕自信が、他の大将達に比べたら腕力が無いし、兵たちの顔ぶれを見ても赤組は体格的に不利なメンツに見えた。
一騎打ちさせられた怒りも収まらないし、本番でまた戦ってきっと負けるのか。
もうほんとにやりたくない。
予行練習も終わり、うなだれて校舎に戻ろうとすると、一人の先生が僕を呼び止めた。
一度も絡んだことも口を聞いたこともない、正直お名前すらあやふやな先生だった。
その先生が、絶対勝てる戦法を教えてくれると言う。
目からウロコな騎馬戦必勝法
「姑息な戦法だけど、勝ちたい?」
その先生は、僕だけに聞こえるような小声で説明しながら、グラウンドの地面に指で図を書き始めた。
それを再現した図がこれだ。
なんてレベルの低いプレゼン資料だろう。
会社員だったら会議で怒られそう。
絶対出世しないな。
これでも頑張ったんだけど…
伝わるかな・・・
作戦
開戦の合図が鳴るまでに、急いで図の通りの陣形を作る。
騎馬を作る時間で陣形まで作ってしまおう。
- 護衛部隊
自軍大将馬を囲むように、下級生メインの体の小さい、戦力にならないであろう騎馬で二重の円を作らせる。
騎馬数は生徒の人数次第で調整するしか無いが、上級生でも弱い騎馬は護衛に回そう。
内側の円は、届けば隣通しで腕と腕を握らせて絶対に手を離さない。
外側の円は、隣通しで手をつなぎ合って絶対に手を離さない。
どちらの円の護衛部隊の騎馬も、内側(大将側)を向かせ、目を瞑ってもいいから、とにかく手を離さないようにひたすら敵からの攻撃に耐え続けてもらう。
突破されないように二重の防御壁となるのだ。
護衛騎馬の背後から襲ってくる敵部隊は恐ろしいが、手を離さなければ大将に攻撃の手が届く事はない。
- 攻撃部隊
護衛部隊に戦力外の弱い騎馬を徹底して集めて防御壁に徹してもらう分、
攻撃部隊にはそれ以外のメインの戦力となる強い騎馬を集める。
下級生でも体の大きい力のありそうな強い騎馬は攻撃部隊になってもらおう。
攻撃部隊には、開始の合図とともに、敵の大将だけを狙い撃ちで攻めに行かせる。
相手の雑魚は完全に無視。
大将の首だけを取りに行くのだ。
攻撃部隊は10騎馬もあれば充分。
防御壁が破られない護衛部隊の密度を優先した方が良い。
全攻撃部隊で脇目も振らずに大将だけを攻めれば、数や体格が多少劣っていようと陥落させるのは早い。
相手軍は大将を防御している部隊なんてそんなに居ないはずだ。
皆、思い思いにバラバラに攻撃に来る。
こちらの護衛部隊と大将は、ひたすら耐えて時間稼ぎをするだけ。
作戦会議
この作戦は、敵に知られては効果が薄くなる。
絶対に極秘だ。
だが、自軍の兵には事前に作戦を伝え共有しなくてはならない。
先生に許可を得て、給食の時間中に僕は放送室をジャックした。
「えー、赤組団長のちゃたけです。
全学年の赤組男子の皆さん、お話があります。
放課後、部活に出る前にピロティーに集まってください。
全員参加するように!」
ピロティーとは、体育館の1階にある体操部が使う室内運動場。
放課後、赤組男子が全員集まった。
4人一組の騎馬ごとの組に分かれてもらい、体格や腕力、やる気を見て、
攻撃部隊と護衛部隊にそれぞれ任命した。
作戦内容を、口頭と図を書いて伝え、
攻撃部隊は全力で敵大将の首を取ること。
護衛部隊は絶対に手を離さず、目を瞑ってでもとにかく耐えること。
これを念入りに伝えた。
作戦を理解してもらったら、実際に騎馬を作って陣形を迅速に作る練習までした。
実際にやっておくと本番でスムーズだ。
いざ、本番。参る!!
完勝だった。
先に戦った白組に至っては、こちらが作る陣形にびっくりして意図がわからず戸惑っていた。
結果、大将である僕は指一本触れられないままに、敵の大将は陥落した。
護衛部隊は泣きながら歯を食いしばって耐え抜いた。
背後から押し寄せる恐怖に目を瞑っていることも出来ない下級生と僕は目を合わせ、
がんばれ、もう少しだ、耐えろ!と鼓舞した。
攻撃部隊も優秀だった。
大将だけを確実に狙い、あっという間に落としたのだ。
続いて青組との戦い。
攻撃部隊が苦戦していた。
白組との戦いを見て、作戦はもうバレている。
時間が経過するとともに、護衛部隊の防御壁は少しずつほころび始め、敵の最強攻撃部隊の手が、ついに僕の体に到達してしまった。
壁が決壊する。。。
あとはもう、大将である僕がひたすら耐えるしか無い。
僕が落ちない限り負けはない。
必死で耐えていると、終了の号砲が聞こえた。
僕はまだ落ちていない。
間に合った。
攻撃部隊が敵の大将を落としてくれたのだ。
2戦2勝、全勝だ。
最後は攻め入られて危なかったが、作戦は完璧だった。
練習では1勝も出来なかった我軍は、本番で全勝した。
体育祭が終わると、僕は必勝法を伝授してくれた先生に御礼を言いに行って頭を下げた。
おかげさまで勝てました。
ありがとうございました。
姑息な戦法に思うだろう。
卑怯だって非難されるかもしれない。
その覚悟は出来ていた。
でも、勝った。
勝ちにこだわって結果を出した。
運動会、体育祭の騎馬戦なんて、わざわざ作戦を立てることも無いだろうし、皆バラバラに戦って連携なんて無いようなもんだろう。
でも、この作戦を極秘に徹底して全員がしっかり実行すれば、かなりの勝率だと思う。
これを知った君、使うか使わないかは君次第だ。
昔々、あるところで、こんな戦いがあったよ、っていうお話でした。
ではでは。RTB。
ちゃたけ